メソッド科目

社会調査法入門

私たちは日々、様々な社会調査の結果を目にしている。国の国勢調査やマスメディアによる世論調査はその一例である。こうした社会調査の結果が、ときに社会を動かす大きな原動力となることもある。現代社会の生活と社会調査は、切っても切れない関係にあるといってよい。

社会調査はまた、学問にとっても非常に重要な道具である。社会について新たな知識を獲得するためには、理論的な思考や既存資料の分析だけでなく、実際に自ら現場(フィールド)に出て、情報を収集する必要に迫られることも少なくない。

この授業では、社会調査の基本的な考え方や、調査票調査や参与観察など代表的な社会調査の技法について学び、市民として求められるリサーチ・リテラシーに関する知識や、実際に自身で社会調査を実践する際の基礎となる知識を理解し、身につける。

統計分析の基礎

観光市場や観光産業の局面を正しく理解し、適切な施策や事業を立案していくためには、国・地域の観光統計および関連する社会経済統計を活用していくことが必須となる。本講義の前半では、主に観光統計データを題材に、統計データの種類や、平均値、分散、正規分布などの統計の基礎的な知識を得ると共に、データ集計作業や基本的なグラフ作成の手順について学ぶ。後半では、国や地域の観光統計データの概要をを学んだ上で、調査設計、調査票の作成、調査結果のポイントを表現するための図表作りを学ぶ。

プログラミングと数学基礎

情報機器のコモディティ化が進み、誰もがなにかしらの形でコンピュータを操作し、データを生み出しているといっても過言ではない現在、学術機関での研究に限らず、企業が業務上取り扱うデータ量も膨大になってきている。また、消費者のニーズが多様化したことから、集めたデータの活用方法も様々となり、特定のパッケージアプリケーションで定形の処理を行うだけではきめ細かな要求に対応することが困難となってきている。その一方で、パーソナルコンピュータの性能進化もめざましく、大量のデータを1台のPCで取り扱えるケースも増えてきている。

また、データ解析や処理が行いやすくなるように設計されたプログラミングツールも開発されてきており、多少のプログラミング能力と多少の応用的な数学の知識さえあれば、個人でも様々な切り口からデータを利活用することが出来る環境が揃ってきている。

簡単なデータ処理を行えるレベルの実践的なプログラミング技術と、データ解析やパラメータ最適化に必要な数学の基礎について学び、データを高度に利活用できる技能を身につける。

パブリックデザイン(地域と公共空間)

地域創生、地域の時代と言われ久しい。しかしながら日本の地方都市は何処に行っても同じような印象を受けることが少なくない。

情報が発達する前、昭和30年頃までの日本は固有の地域文化、人と建築や文化が織りなす美しい風景があった。地域固有の資産や魅力を新たに引き出し、それを伝えるためにデザインという手法は非常に重要で効果がある。

本授業では具体的な事例を通して、全国各地の地域の顔となるような公共空間のデザインが出来るまでの背景やプロセスを学び、地域の固有性を引き立たせるデザインの意味や効果を理解することを目指す。

プロダクトデザイン(地域と杉)

近年、都市の木質化―すなわち、公共建築を含めた身近な環境づくりに自然資源である木材を多用することが推奨されている。特に、木材の地産地消に貢献するという観点から、身近で入手しやすい杉は有用な素材である。

杉は誰でも知っている木であるが、学名Cryptomeria japonicaといい、日本原産で日本固有の樹木である。神が降臨するご神木として、また、建築の最もポピュラーな木として、永く日本の地域に無くてはならない素材であった。戦後まで日本の山は杉だらけで日本各地で林業、木材業は繁栄した。ところが戦後の輸入木材の自由化、また花粉症の根源と言われ、急速に杉は表舞台から姿を消し衰退していく。しかし杉は衣食住に深く関わり、植林も代々引き継がれて来た。まさに日本文化をつくってきた素材とも言える。

こうした背景を踏まえ、本授業ではプロダクトデザインに木材を活用することの意義や、素材としての木材の特徴を理解するとともに、木材の中でも特に杉に着目し、その魅力と地域に於ける杉利用の可能性を学ぶ。杉材をつかった具体的なデザインプロジェクト事例に触れることで、同じ杉でありながら、使い方によって地域の魅力づくりに大きく貢献することを実感する。

データサイエンス

今日、情報技術の発展は留まりを見せない。大容量の記憶装置や高速ネットワーク・無線通信技術の普及、ありとあらゆる半導体デバイスの小型化が進み、一昔前には考えられなかった量のデータを記録・蓄積することが可能になった。しかし、解析をしなければ折角記録したデータを活用することは出来ない。統計学、データ分析、機械学習を駆使して如何にして意味のある情報を見出すかを探求しているのがデータサイエンスと呼ばれている分野である。

科目「統計分析の基礎」の範囲である統計学以外の、データ分析、機械学習の要素技術についての俯瞰的な視座を獲得するとともに、単回帰分析などを実装するまでの手順についての詳細を学習し、理論から実装への落とし込み方についても触れる。また、実際に手を動かして解析を試してみることを通して、基礎的なデータ解析について学習する。

質的調査法

私たちは日々、たくさんの社会調査の成果物に接しており、そこに示された情報は、社会を動かす「力」ともなっている。マスメディアの実施した世論調査の結果を受けて政府の方針が変わる、研究者たちによる調査がきっかけとなって社会運動が展開されていく、そうした光景を目にすることも少なくない。社会調査は自身や他者が生活する社会を知るための手段であると同時に、それ自身が社会的な営みでもある。

本科目では、まず、社会調査の考え方や調査の技法を学ぶ。実は、社会調査の結果を正確に理解することは容易ではない。まずは正確に情報を理解するためのリテラシーを身に着けることを本科目の第1の目標とする。なお、リテラシーは社会調査を実践する力とも深く関係しているため、本科目を通して社会調査を実施するための能力を身に着けることも期待される。また、本科目では、社会調査と社会との関係についても目を向ける。社会調査の歴史や著名な研究成果に触れることで、情報収集の手段を超えた社会調査の意義を理解することを第2の目標とする。

社会学は、これまで、社会を実証的に解明することで、社会の構造や機能や意味を明らかにしてきた。言い換えれば、社会を理解するには、社会調査の方法を踏まえての観察に基づいた実践が欠かせない。「社会学概論」で得た知識と視点を土台に、社会での実践のための視点とスキルを身につけることを第3の目標とする。

多変量解析

本科目では、多変量解析の手法と利用例を学ぶとともに、統計解析ソフトウェアRを使用した実習形式で学習し、「解析を実行する能力」および「結果を説明する知識」の修得をめざす。社会や文化に関するデータを扱い、多変量解析を使うことにより、複雑な人間社会や文化現象の特徴の要約や、現象を生み出す要因の推定が可能になることを理解する。また、解析を体験しその応用可能性を実感することにより、数学的内容を理解しようとする意欲の向上させる。なお、フリーソフトウェアRは学生個人のコピュータにもインストールでき、修得したスキルを各自の学習に応用できる。

授業は3つのユニットで構成される。第1ユニットでは、多変量解析の準備として分散や標準偏差などの基本統計量、データの分布型や相関係数などについて、復習もかねて学ぶ。第2ユニットでは、主成分分析、対応分析、クラスター分析、因子分析、回帰分析について実際にソフトウェアを操作しながら、解析の手順や注意事項、計算結果や出力図の読み取り方を学ぶ。また、数学的な内容については、数式の大意を理解し解析方法の基本的な説明ができるようになることを目標とする。第3ユニットでは、解析結果の利用について学ぶ。分析対象とした集団や出来事に解析結果を適用し説明することで社会や文化に対する理解が深まることを確認し、地域社会の経済や文化活動への利活用についても議論する。

地理空間情報分析

地理空間情報分析の技術ツールとして広く社会で活用されている地理情報システム(GIS)を実際に使用し、地理空間情報分析に対する基礎的な理解と具体的なGISの使用手順を身につけることを目指す。

用意されたデータを使い、GISの具体的な操作から始め、テーマごとに実際の分析の様子を目にし、具体的な操作手順を一通り踏まえた上で、関連する基礎知識の理解、用意したデータの取得・作成方法、GIS操作の発展・応用までを学ぶ。