基盤科目

地域調査基礎

本科目は、地域の諸条件や観光を取り巻く環境を客観的に分析するための基本的な方法を体系的に学習する必修科目である。地域社会、地域環境、地域経済を捉えるために必要な基本的な知識と調査方法、資料収集・分析方法を学ぶ。具体的には、地域の地形、空間、社会構造(構成員)、産業構造、人の流れ、行事、歴史、政策や計画を把握する方法、観察調査、聞取り調査、アンケート調査など、地域を訪れて実施する調査の方法と注意点を解説する。

なお、本科目は同時期に具体的な地域を対象として実施する必修の演習科目「観光まちづくり演習Ⅰ」の基礎的科目の位置づけを持っているため、両者を同時に履修することで、学習効果を高めることが期待される。

基礎統計

観光市場の局面を正しく理解し、適切な施策や事業を立案していくためには、国・地域の観光統計および関連する社会経済統計を活用していくことは必須となる。本講義の前半では、統計データの種類や、平均値、分散、正規分布などの統計の基礎的な知識を得ると共に、データの集計作業や基本的なグラフ作成の手順について学ぶ。後半では、国や地域の観光統計データの概要を解説した上で、調査設計、調査票の作成、調査結果のポイントを表現するための図表作りを学ぶ。

プログラミングと数学基礎

情報機器のコモディティ化が進み、誰もがなにかしらの形でコンピュータを操作し、データを生み出しているといっても過言ではない現在、学術機関での研究に限らず、企業が業務上取り扱うデータ量も膨大になってきている。また、消費者のニーズが多様化したことから、集めたデータの活用方法も様々となり、特定のパッケージアプリケーションで定形の処理を行うだけではきめ細かな要求に対応することが困難となってきている。その一方で、パーソナルコンピュータの性能進化もめざましく、大量のデータを1台のPCで取り扱えるケースも増えてきている。

また、データ解析や処理が行いやすくなるように設計されたプログラミングツールも開発されてきており、多少のプログラミング能力と多少の応用的な数学の知識さえあれば、個人でも様々な切り口からデータを利活用することが出来る環境が揃ってきている。

簡単なデータ処理を行えるレベルの実践的なプログラミング技術と、データ解析やパラメータ最適化に必要な数学の基礎について学び、データを高度に利活用できる技能を身につける。

地理空間情報分析

地理空間情報分析の技術ツールとして広く社会で活用されている地理情報システム(GIS)を実際に使用し、地理空間情報分析に対する基礎的な理解と具体的なGISの使用手順を身につけることを目指す。

用意されたデータを使い、GISの具体的な操作から始め、テーマごとに実際の分析の様子を目にし、具体的な操作手順を一通り踏まえた上で、関連する基礎知識の理解、用意したデータの取得・作成方法、GIS操作の発展・応用までを紹介する。

デザイン表現

近年、インバウンド観光促進の観光ビジョン、観光による過疎地(地方)のまちづくりなど、「まちづくり」や「観光」の視点において、地域の資産や活動を国内外にアピールすることにエネルギーを注いでいる傾向にある。社会生活の営みにおいて、「まちづくり」や「観光」の目的は何なのか?「まちづくり」とは何なのか、なぜ私たちは「まちづくり」に関わる必要があるのだろうか? そして、デザインの力(ちから)で何が解決できるのだろうか?

まちづくりや観光の「デザイン」の背景にある意味や目的を見据え、どのようなスキームを構築し、誰に対してどのようなデザイン手法を展開しているのか、実例と実践を通してわかりやすく解説・実感させる。さらに、デザインの効用と効果を検証し、デザイン表現のためのスキルの基本を理解するとともに身につけることができる。

データサイエンス

今日、情報技術の発展は留まりを見せない。大容量の記憶装置や高速ネットワーク・無線通信技術の普及、ありとあらゆる半導体デバイスの小型化が進み、一昔前には考えられなかった量のデータを記録・蓄積することが可能になった。しかし、解析をしなければ折角記録したデータを活用することは出来ない。統計学、データ分析、機械学習を駆使して如何にして意味のある情報を見出すかを探求しているのがデータサイエンスと呼ばれている分野である。

科目「基礎統計」の範囲である統計学以外の、データ分析、機械学習の要素技術についての俯瞰的な視座を提供するとともに、単回帰分析などを実装するまでの手順についての詳細を解説し、理論から実装への落とし込み方についても触れる。また、実際に手を動かして解析を試してみることを通して、基礎的なデータ解析について解説する。

地域づくりとパブリックデザイン

地域創生、地域の時代と言われ久しい。しかしながら日本の地方都市は何処に行っても同じような印象を受けることが少なくない。

情報が発達する前、昭和30年頃までの日本は固有の地域文化、人と建築や文化が織りなす美しい風景があった。地域固有の資産や魅力を新たに引き出し、それを伝えるためにデザインという手法は非常に重要で効果がある。

社会調査法

私たちは日々、たくさんの社会調査の成果物に接しており、そこに示された情報は、社会を動かす「力」ともなっている。マスメディアの実施した世論調査の結果を受けて政府の方針が変わる、研究者たちによる調査がきっかけとなって社会運動が展開されていく、そうした光景を目にすることも少なくない。社会調査は自身や他者が生活する社会を知るための手段であると同時に、それ自身が社会的な営みでもある。

本科目では、まず、社会調査の考え方や調査の技法を学ぶ。実は、社会調査の結果を正確に理解することは容易ではない。まずは正確に情報を理解するためのリテラシーを身に着けることを本科目の第1の目標とする。なお、リテラシーは社会調査を実践する力とも深く関係しているため、本科目を通して社会調査を実施するための能力を身に着けることも期待される。また、本科目では、社会調査と社会との関係についても目を向ける。社会調査の歴史や著名な研究成果に触れることで、情報収集の手段を超えた社会調査の意義を理解することを第2の目標とする。

社会学は、これまで、地域社会を実証的に解明することで、地域社会の構造や機能や意味を明らかにしてきた。言い換えれば、地域社会を理解するには、社会調査の方法を踏まえての観察に基づいた実践が欠かせない。「地域社会学概論」で得た知識と視点を土台に、地域社会での実践のための視点とスキルを身につけることを第3の目標とする。