展開科目Ⅳ類

基礎Ⅳ類(交流・産業)

観光学概論

「観光」と聞くと、多くの学生は観光客として旅行を楽しむ立場をイメージしてその活動を捉えるかもしれないが、それは観光という多面的な事象を捉える際の視点の一つに過ぎない。本講義では、まず観光の歴史的発展を概観して時代とともに観光をめぐる環境や状況が変遷することを理解する。その上で今日の観光という事象を取り巻く様々な主体について、観光客の視点に加え、観光事業者や観光推進組織、行政など観光客を受け入れる地域側の視点、さらには観光政策や観光関連法規、観光計画といった政策実現の視点、そして国際的な観光を俯瞰する視点から広く見渡すことによって、今後4年間の観光まちづくりに関する学びの基礎を身につける。

観光マーケティング

マーケティングとは、「問題を発見し、解決策を考え、需要を創造する」一連のプロセスである。本授業では、未来の観光需要を創造していくための基礎力を養う。そのためには単に「正解を記憶する」だけではなく「社会を観察し、自分の頭
で考える」姿勢が求められる。

日本の観光は、人口が増え経済が成長した時代から変わらず「余暇を使ったレジャー」という需要を追い続けているが、人口減少が始まった今、新時代の需要創造が十分とはいえない。観光を広義でとらえれば「移動を通じた自己実現の機会」である。その中で消費者の、それも自分とは違う世代や国籍、価値観等を持つ方々の、願いや悩みを発見し、解決策を考え、需要を創造することが求められている。

授業では、現代社会を知ることから始め、日本が目指す観光政策や課題について理解し、これからの観光マーケットにふさわしい仕組みや商品のアイディアを発想できるようになることを目指す。

観光政策・計画論

「政策」とは現実を理想に近づけるための手段(ツール)であり、その手段を分かりやすく体系化したものが「計画」である。明治以降のわが国政府がとってきた観光政策(国際観光政策)の歴史の中で、それを実現させるために様々な観光計画が様々な主体によって策定されてきた。主に戦後の観光政策変遷の背景を振り返りつつ、地方創生の戦略の一つとして位置づけられた観光政策について学ぶ。また、人口減少・少子高齢社会を迎え、地域活性化の方策の一つとなる観光振興を計画的に進めるために観光計画策定のプロセスを理解する。

(オムニバス方式/全15回)

観光事業論

現在、世界的な交流人口は約15億人にまで拡大し(2019年、UNWTO)、観光産業は世界のGDPの約10%を占め、最も大きな経済セクターの一つとされている。また観光産業は交通、宿泊、旅行会社、飲食、テーマパークなど多様な業種から構成され、世界中で約3億人が従事しており、各事業は雇用創出など地域経済にも大きな貢献をしている。

昨今、デジタルエコノミーの進展やSDGsへの対応など、社会的な変化や要請を背景に消費者が観光、旅行に求めるニーズも変化し、観光事業には事業変革(イノベーション)による価値創出が求められている。このような背景のもと、観光事業別にその経営(マネジメント)の特徴や課題を理解し、中長期的な視点からあるべき姿(ビジョン)を把握する。

観光事業は、地域の社会、文化、経済、環境のありようと密接に結びついており、グローバル社会における観光まちづくりや地域活性化を考えるうえで、観光事業は重要な役割を果たす必要がある。学習を通じて、観光事業の役割や意義を理解し、地域の持続的な発展へどのような貢献ができるか、について考える力を身につける。

発展Ⅳ類(交流・産業)

観光行動論

観光振興・地域振興を考えるうえで、観光主体(観光者)やサービス提供者の行動・心理を理解する視点は欠かせない。本科目は、観光主体の立場から観光現象を理解し、観光者の行動を理解するための基礎知識を学び、併せて観光現象やサービス提供場面における行動論的・心理学的な見方を習得することを目的とする。 前半に観光者の行動・心理に関する基礎理論や調査方法、歴史的背景について紹介した後、実際の観光・サービス場面における行動・心理の理解に欠かせないノンバーバル・コミュニケーションやサービスの基礎理論等に加え、行動特性を活かした観光地美化の考え方や、自然災害時の不安心理や風評被害と観光行動、観光回遊の行動特性、観光場面での「感動」の構造等、担当者自身が研究に取り組んできたテーマを取り上げ、講述する予定である。

講義は講義資料と視覚教材を使用しつつ、豊富な事例を紹介しつつ進める。授業時間内に、リアクションペーパーの作成・提出を求めることがある。

ホスピタリティ・マネジメント論

宿泊産業や外食産業に代表されるホスピタリティ産業は、観光を支える事業として重要な役割を果たしている。この産業は、労働集約的であり、サービス商品が抱える、無形性、不可分性、変動性、消滅性といった経営特性への対応が求められる点などに特徴がある。ホスピタリティ産業を広義で捉えると、航空産業等の運輸事業や旅行産業、ブライダル産業なども含まれる。

この科目では、企業の仕組みやステークホルダーとの関係、経営戦略、競争戦略、多角化と国際化、人的資源管理、インセンティブ・システム、リーダーシップといった一般的な経営学の理論を理解しながら、ホスピタリティ産業に共通する事業特性、あるいは産業ごとの特性について理解を深める。

また、各企業の具体的な取り組み事例を経営学の理論に照らしながら、この産業の経営のあり方について学び、マネジメント人材に求められる経営課題の捉え方やイノベーションの仕組みを身につける。

旅行産業論

旅は紀元前の古代から続き、好奇心に基づく人の本質的な行動である。その経験を商品サービスとして提供する事業は近代から発展し、誰もが旅行に行ける=大衆化の時代を創造した。現在、旅・観光は社会的現象の一つとして解釈され、旅行・観光産業は世界のGDP総額の約10%を占める大きな産業となっている。しかしグローバル化、情報化時代においてその産業や事業のありようは変化しており、巨大産業がゆえに、社会、経済、環境に与える影響も大きく、旅行産業が地域社会の持続可能な発展に貢献するための意義、役割は幅広く奥深い。

旅行産業が提供するサービスは、観光目的の旅行だけでなく出張やMICEと呼ばれる分野まで多様である。さらに観光まちづくりにおける旅の経験価値を提供する担い手の一人として、社会課題を解決するプレイヤーとして事業分野も様々である。事業に必要な経営資源も異なり、関わる関係者も多様である。旅行産業の発展を歴史的背景に沿って理解し現在の事業を地域との関係も含め包括的に理解することで、将来の旅行のあり方についての示唆や洞察を得て、みずからそれを考える学修機会とする。

宿泊産業論

宿泊産業は、接客が特長のホスピタリティ産業でもあり、プロパティの効率的な運用で稼ぐ不動産業でもある。また、大規模なホテルチェーンから小規模なゲストハウスまで多種多様な業態が存在する。地球上の交流を創造、促進し、安全な滞在を確保するために、宿泊産業は、観光あるいは地方創生面のみならず、社会・経済でなくてはならない産業である。

ホテル・旅館・ゲストハウス等様々な宿泊業を事例とともに学び、経営面での課題や可能性を理解し、理想の宿泊業について考える。

地域の観光情報メディア

地域の観光情報メディアとは何かを理解するにあたり、メディアの特性を制作プロセスと共に学ぶ。学生に身近なSNSが地域の観光情報メディアとしてどのように活用されているかを考察し議論する。地域において、観光戦略の要である情報発信について実態を把握し、課題を抽出し、学生が自ら情報発信者の立場になったと想定して、情報発信のあるべき姿を学ぶ。自治体のアンテナショップなどリアルな場が情報発信を担っていると理解すると共に、リアルな場の可能性について議論する。

観光地経営論

現代社会における諸問題への処方箋として観光の可能性、そして持続可能な観光地を目指すための「観光地経営」の考え方を学ぶ。かつては観光は物見遊山と言われてきたが、近年では輸出産業と同じ外貨獲得の戦略手段であり、東京一極集中が続き、疲弊した地方の魅力づくりや地方創生の柱の一つと位置づけられるなど多様な機能・役割を包括する概念として語られるようになっている。こうした観光の新しい可能性について、具体的に学んでいく。一方、既存の観光地においても期待される新しい役割・機能に柔軟に対応し、持続可能な観光地の経営を進めていく必要があり、その要諦を具体的な事例を通じて学ぶ。

(オムニバス方式/全15回)

観光食マネジメント論

観光における食のマネジメントについて、その根幹をまず理解できるよう基礎的な部分から学んでいく。具体的には、観光食を支える食文化や、それを支える農業や漁業等の第一次産業の実際、調理技術の変遷やトレンド、情報受発信、伝承技術等を学んだ上で、実際の食の日常と観光における展開もみていく。その上で、これからの時代の観光食マネジメントについて具体的に考えていく。中でも食を自分事として捉え、観光食マネジメントのあり方を自ら発見、考察し一部実践もできることも目指す。

世界の観光政策

19世紀半ばに欧州で始まるマス・ツーリズムとその時代背景について学び、現在に至るまでの世界の観光の流れを概観する。

次に、観光先進国が集積する欧州、およびアメリカ、オーストラリア、タイなど世界の観光立国のインバウンドおよび観光地域づくり政策を中心に学び、日本の観光政策との比較考察を行う。

加えて、国の観光力向上のためには、観光行政と観光産業がどのように連携しあるいは役割分担を行うべきか、各国の成功事例を学びつつ、理解を深める。

観光経済論

本講義の前半では、旅行市場と観光産業の分類・定義を学んだ上で、主な観光統計・社会経済統計を用いて、日本人の国内旅行、海外旅行、訪日外国人旅行、国際観光市場の別に、市場の概況と課題について把握する。後半では、観光の経済波及効果の概念を理解するとともに、観光地経営の視点から地域における経済効果を高めるための諸施策について学ぶ。

田園回帰論

2014年の消滅可能性都市のレポートを受け、全国の自治体が都市部からの移住者の受入に乗り出した。都会から農山漁村への移住という物理的移動だけでなく、都市住民が地方へ向けるまなざしの変化を田園回帰と呼ぶ。

過疎対策としての移住者受入を行っていた自治体だけでなく、人口減少対策としての移住者受入に動いた自治体が増える中で、地方移住の現状とさまざまな課題を地域でどう解決していったのかを全国各地の取り組みから学ぶ。また、地域の資源としての空き家の利活用や、自らのなりわいをつくる「起業」、もともとあった生業を引き継ぐ「継業」なども、実例を交えて学ぶ。