展開科目Ⅲ類

観光学基礎

 観光を取り巻く様々な事象や主体について学び、観光客の視点だけでなく、観光事業者や観光推進組織、行政など観光客を受け入れる地域側の視点、さらには観光政策や観光関連法規、観光計画といった政策実現の視点、そして国際的な観光を俯瞰する視点まで広く持つことができるようにすることによって、今後4年間の学び・観光学の基礎を身につける。また、観光の歴史的発展を学ぶことで、時代とともに観光を巡る環境や状況が変わることを理解し、過去から現在を見た上で将来を見据える力をつける。

観光資源論

観光資源は、地域や時代ごとの人々のまなざしによって、多様な捉えられ方をされてきた。その歴史を学ぶとともに、自然・環境という観点からも、歴史・文化という観点からも、多様性に富む日本の観光資源を知り、その特徴や取り巻く課題について考えを深める。

その上で、一定の地域において、観光資源を見出し、活用するための道筋及び方法を、地域タイプごとに具体的かつ豊富な事例から多面的に学ぶ。あわせて、観光資源とそれを取り巻く地域の持続性を担保するための保存の方法の枠組みと考え方の基本を学び、観光資源及び地域に対する複眼的な見方を養う。

観光政策論

「観光政策」とは何かを明らかにし、まずは、明治から昭和初期(主に外貨獲得)、そして戦後の高度経済成長期(大衆化、大量化)から現在(人口減少、少子高齢社会)に至る観光政策の歴史的変遷について学ぶ。

次いで、政策立案の基礎となる観光関連法の体系とその概要、観光資源、観光統計の概要について学ぶ。

そして、観光庁を主体とする政府の観光政策、さらには都道府県、市町村の観光政策の現状と課題を学びつつ、観光立国推進に向けた基本的な考え方を理解した上で、地方自治体による観光政策推進の意義や地域における観光推進体制のあり方、「日本版DMO」などについて学ぶ。

観光計画論

観光地はそれぞれの地域特性に応じて様々な課題を抱えている。これらの課題を解決し、住民と来訪者(観光客)の双方にとってよりよい地域の実現を目指す際には、「観光計画」を策定することが有用である。

観光計画は観光地の現状を正しく把握したうえで課題の整理を行うとともに、将来目標像を明確に設定して地域内で広く共有し、目標像実現のための施策を体系化するものである。その対象とする空間スケールは地区~地域レベルから地方~国土レベルまで様々で、またその中核となる策定主体も様々であるが、本講義では行政が策定主体となる市町村レベルでの観光計画を中心に取り扱う。

まず観光計画の歴史的な流れとその変遷を概観し、観光計画策定の一般的な流れを理解する。その上で観光計画の具体的な事例に触れ、前述した計画策定の具体的な流れと内容について紹介する。

観光事業論

現在、世界的な交流人口は約15億人にまで拡大し(2019年、UNWTO)、観光産業は世界のGDPの約10%を占め、最も大きな経済セクターの一つとされている。また観光産業は交通、宿泊、旅行会社、飲食、テーマパークなど多様な業種から構成され、世界中で約3億人が従事しており、各事業は雇用創出など地域経済にも大きな貢献をしている。

昨今、デジタルエコノミーの進展や、SDGsへの対応など、社会的な変化や要請を背景に消費者が旅行に求めるニーズも変化し、観光事業にイノベーションによる価値創出が求められている。そこで、事業別にそのマネジメントの特徴や課題を理解し、中長期的な視点からあるべきビジョンを把握する。

観光・旅行産業は、地域の社会、文化、経済、環境のありようと密接に結びついており、地域の持続可能な発展を考えるうえで、観光事業は重要な役割を果たす必要がある。学習を通じて、観光事業の役割や意義を理解し、そして地域の持続的な発展へどのような貢献ができるか、について考える力を身につける。

観光経済論

旅行市場と観光産業の分類・定義を学んだ上で、主な観光統計・社会経済統計を用いて、日本人の国内旅行、海外旅行、訪日外国人旅行、国際観光市場の別に、市場の概況について学ぶ。

次いで、観光の経済波及効果の概念を理解するとともに、観光地経営の視点から地域における経済効果を高めるための諸施策について学ぶ。

観光社会学

近年は日本国内においても、インバウンドの急増により、全国各地に経済的な利益をもたらしている。しかし一方で、増加する観光客の諸行動や観光産業の商業主義により、観光地に様々なネガティブ・インパクトが発生しているのも事実である。

観光の持つ様々な社会学的影響力を多面的に捉え、特に観光地域のコミュニティ、伝統文化、経済等の持続可能性について注目しつつ、地域における観光発展の規模や住民生活との適切なバランスを考察する。そしてその理解を深めるために、観光社会学における理論や国内外の研究成果はもとより、国内および海外における観光地域づくりの成功・失敗事例も学び、具体的且つ包括的な理解を育む。

世界の観光政策

19世紀半ばに欧州で始まるマス・ツーリズムとその時代背景について学び、現在に至るまでの世界の観光の流れを概観する。

次に、観光先進国が集積する欧州、およびアメリカ、オーストラリア、タイなど世界の観光立国のインバウンドおよび観光地域づくり政策を中心に学び、日本の観光政策との比較考察を行う。

加えて、国の観光力向上のためには、観光行政と観光産業がどのように連携しあるいは役割分担を行うべきか、各国の成功事例を学びつつ、理解を深める。

観光交通論

観光の果たす役割を日本全体の経済面、地域活性化の側面から学び、観光が官民の多様な主体の取り組みから成り立つことを学ぶ。

鉄道・船舶等の観光交通に関して、国の政策、地域の取り組み、民間企業の取り組みのほか、各地での取り組みを実践的に調べ考える。

観光マーケティング

マーケティングとは、自分以外の年代・性別・国籍・価値観等、立場の違う消費者のニーズ(あったらいいな)を探り出すゲームである。

市場を観察・分析し、新しい商品を創造して、商圏を拡大するマーケティングの一連の取り組みを、観光業の事例をもとに学ぶ。「市場分析」、「事例研究」、「商品企画」を順に取扱い、最終的には各自に新事業・新商品を企画する。

マーケティングには、論理的に考えを深堀りする「ロジカル・シンキング」、イノベーションを導くための「クリティカル・シンキング(批判的思考)」、販売に工夫を凝らすための「ラテラル・シンキング(水平思考)」、臨機応変に時代に対応していくための「デザイン思考」等、様々な思考法も必要になる。こうした思考法を学び、これまでにない事業・商品を企画・構想できるようになる。

レクリエーション計画論

レクリエーション活動は人々の日常生活を豊かにするだけでなく、非日常圏である観光地においても来訪者(観光客)の体験を多彩なものとし、観光地の魅力向上と来訪者の満足度向上に寄与する側面を持つ。

本講義では主に観光との関係性が深い野外のレクリエーション活動を対象として、地域特性や市場ニーズの変化を踏まえ、観光地の魅力向上と来訪者の満足度向上に資するそれら活動と空間のデザインに焦点を当てる。

まずレクリエーションの概念を理解し、あわせて近年のレクリエーション活動の実態について整理する。その上で観光との親和性の高いレクリエーションに関するハード(空間面)とソフト(活動面)双方のデザインについて、近年の労働環境の変化(働き方の多様化、余暇への価値観の多様化等)やレクリエーションに対するニーズの変化(精神的充足への欲求の高まり、地域固有性と結びついた体験要素の重視等)も踏まえ検討する。

観光情報メディア

観光情報メディアとは何かを理解するにあたり、メディアの特性を制作プロセスと共に学ぶ。身近なSNSが観光情報メディアとしてどのように活用されているかを考察し議論する。地域において、観光戦略の要である情報発信について実態を把握し、課題を抽出し、学生が自ら情報発信者の立場になったと想定して、情報発信のあるべき姿を学ぶ。自治体のアンテナショップなどリアルな場が情報発信を担っていると理解すると共に、リアルな場の可能性について議論する。

観光食文化論

観光における食文化についてその根幹をまず理解できるよう、基礎的な部分から学んでいく。具体的には、観光食文化を支える農業や漁業の第一次産業をはじめとして、調理技術の変遷やトレンド、情報受発信、伝承技術等を学んだ上で、実際の食の日常や観光における展開もみていきながら、これからの時代の中での観光食文化についてともに考えていく。中でも食を自分事として捉え、観光食文化のあり方を自ら発見、考察しつつ一部実践もできることも目指したい。

観光地経営論Ⅰ

観光産業が集積した地域、つまり既存の観光地においては、ハード・ソフトを含めて観光地全体を持続的にマネジメントしていく「観光地経営」という考え方が重要となる。

本授業では、「観光地経営」の要諦となる9つの視点( (1) 状況把握、(2) 戦略策定、(3) 市場創出、(4) 滞在化・平準化、(5) 保存・活用、(6) 組織・人材、(7) ブランド形成、(8) 財源確保、(9)危機管理)について多角的に学ぶ。

そして「観光地経営」の考え方を意欲的に実践している全国の事例を観光地のタイプ別に紹介していくことによって、観光地経営の要諦を学ぶ。

観光地経営論Ⅱ

「観光」の概念やあり様が変わるとともに、観光と地域の関係も大きく変化する。

「観光」や「リゾート」に関して、その概念や過去から現在に至るあり様を理解した上で、日本の観光地の課題である「長期滞在にも耐えうる観光地づくり」を目指す必要がある。

従って、まずは、現代における「観光」や「リゾート」の概念や新しい潮流を理解する。その上で、これまでに学んできた都市や地域の今後のあり方を鑑みながら、観光・リゾートのタイプ別に原則、総論編と事例編の2回で構成したユニットを学ぶ。タイプとしては、(1) 都市観光(タウンツーリズム)、(2) グリーンツーリズム、(3) リゾート、(4) エコツーリズム、(5) MICE等を想定している。その後、これからの観光やリゾートと都市や地域の関係のあり方における課題と方向性について展望する。

旅行産業論

旅行を商品サービスとして提供する事業は、近代から発展し誰もが旅行に行ける=大衆化の時代を創造し、現在は旅行・観光産業は世界のGDP総額の10%を占める大きな産業となっている。しかしグローバル化、情報化時代においてその産業や事業のありようは変化しており、また巨大産業がゆえに、社会、経済、環境に与える影響も大きく、旅行産業が持続可能な発展に貢献するための意義、役割は幅広く奥深い。

旅行産業が提供するサービスである旅行は、観光目的の旅行だけでなく出張やMICEと呼ばれる分野まで多様であり、それぞれに事業形態と旅行事業に求められる経営資源も異なり、関わる関係者も多様である。旅行産業の発展を歴史的背景に沿って理解し現在の事業を地域との関係も含め包括的に理解することで、将来の旅行のあり方についての示唆や洞察を得る。

宿泊産業論

宿泊産業は、接客が特長のホスピタリティ産業でもあり、プロパティの効率的な運用で稼ぐ不動産業でもある。また、大規模なホテルチェーンから小規模なゲストハウスまで多種多様な業態が存在する。地球上の交流を創造、促進し、安全な滞在を確保するために、宿泊産業は、観光あるいは地方創生面のみならず、社会・経済でなくてはならない産業である。

ホテル・旅館・ゲストハウス等様々な宿泊業を事例とともに紹介し、経営面での課題や可能性を理解し、理想の宿泊業について考える。

観光危機管理論

異常気象、地震や津波、火山噴火などの自然災害、大規模な火災、交通機関の事故や運行停止、テロや凶悪犯罪など、旅行者や観光客が遭遇する可能性のある危機はさまざまである。そうした危機が発生したときにも国内外からの旅行者・観光客の安全を確保できるような体制が整った「安全・安心」な観光地であることは、「観光先進国」をめざす日本にとって必要不可欠である。

観光産業・観光事業者の立場から見ても、危機や災害が起こったときに、迅速かつ的確な対応でお客様と従業員の命を守り、いちはやく安全な場所に避難誘導するとともに、危機や災害で減ってしまった観光客を一日も早く回復し、観光で生計を立てている従業員や取引先の生活を守ることは、経営のきわめて重要な責任である。

観光客・旅行者と観光産業・観光事業者を災害や危機の影響から守り、危機後の観光の回復をいち早く実現するために、普段から何を準備し、危機が起こったときにどのように対応し、危機後の回復のために何をすべきかを学び、具体的なノウハウを身に着けることで、将来の旅行・観光産業や観光行政、さらには地域社会において防災・危機管理の中心的な役割を果たせるようになる。

地域ブランディング論

地域の再生なくして、日本の再生なし。中央も地方もなく「地域」という視点で全てのエリアを捉え、その土地ならではの資産を見出し価値化することで、地域独自の景観・文化・社会・暮らしぶりの持続可能性が創出する。また、世代を超えて地域の価値を承継していくことができる道標と身体性を創る。地域を価値化していく際の地域ブランドの確立をはじめとした一連のブランド戦略のあり方を学ぶ。