展開科目Ⅲ類

基礎Ⅲ類(政策・計画)

公共政策概論

地域をとりまく様々な政策の中でも、国や地方自治体における公共政策の根幹を理解できるよう、体系や制度についてまず学んでいく。一方で国民・住民に主権があり、政策形成にも主権者の多様な参加が試みられている。そこで、実際の公共政策形成プロセスや制度の運用、地域づくりにおいて、また主権者自体が試みる政策形成や事業展開の事例も順にみていく。そうしたさまざまな先進事例を検討することの中から、グローバル化の時代も背景とした、これからの公共政策のあり方について考える。

地方自治概論

私たちは、住所を定めて暮らす限り、必ずどこかの市区町村の住民であり、その市区町村を包括する都道府県の住民でもある。住民であることによって、自治体からいろいろなサービスを受けられる。一方で、税金を払うなどの負担を負わなければならない。

現在、少子高齢化、人口減少、国際化、高度情報化など、内外に起こっている諸変化は、1700あまりある全国の自治体における様々な課題を生み出し、新たな対応を迫っている。その自治体の取り組み方は私たち住民の日常のくらしにも影響を与えている。

自治体とは何か、なぜ地方自治は求められるのか、この疑問から出発して、現在の日本の地方自治のあゆみを含め、それを支えている考え方や仕組みについて、法制度(中央政府と自治体の関係)、政治機構(首長と議会)、財源、職員、組織、市民関係などに着目して多角的に学ぶ。

地域デザイン論

地域に暮らす住民と一時的に訪れる観光客とでは、地域に求める機能も行動も自ずと異なる。一方で、両者が存在し、出会うことによって、地域の個性が見出され、磨かれていく側面もある。また、近年は住民と観光客に大別できない多様な「関係人口」が生まれつつある。これらをふまえ、有限な地域空間において、住民と観光客をはじめとする多様な主体が共存できる空間的・社会的に魅力的なデザインを、多層的スケールで(建物-敷地-街区-地区-都市-広域)考えるための基本的な見方ができるようになることが、本講義の第一のねらいである。

加えて、人口減少と社会の成熟化、情報化、グローバル化に加え、気候変動等に伴う災害の頻発と2020年以降のコロナ禍で、地域を取り巻く環境も人々の意識も激動期にある現代において、行政の縦割りや広域化等の弊害を越え、地に足着いた地域デザインを行っていくための基本的なアプローチと関連する基本的な技術を習得することが第二のねらいである。

フィジカルなデザインだけではなく、そこに関わる多様な主体の関係性デザイン、マネジメントをも含めた中長期にわたるプロセスのデザインを包括的に考えていく地域デザインの基本を習得する。

国土・都市計画論

人々が普段生活したり、旅行で訪れる魅力的な国や都市は、個々人の自由な振る舞いだけでその姿に至ったわけではなく、多くの場合、何らかの「計画」 の介入のもとで形作られている。そのため、地域づくりに携わる者には、その地域がどのように計画されて形成しているのかを読み解く力や、 課題の解決や潜在的な魅力の発掘のためにどのような計画技術が適用し得るのかを構想する力が求められる。その初歩として、本講義では国土や都市空間をコントロールする技術としての国土計画・都市計画の考え方を理解することを目的とする。

授業の前半では、都市とは何か、を考えた上で、わが国の都市は、日本古来の都市づくりによる空間をベースに、海外において誕生した近代都市計画技術を取り入れ適用することで、現在の様態になったことから、わが国の都市計画が現在の制度に至るまでの都市計画史を学ぶ。

中盤では、現在のわが国の都市計画制度について、土地利用、都市施設、市街地開発といった観点から理解し、人口減少問題、地球環境問題など21世紀の諸課題を念頭に置きつつ、これからの都市計画のあり方について考察し議論する。

後半では、主にわが国の国土計画・国土政策を取り上げ、時々の社会経済状況に対応した計画内容とその変遷、空間のスケールと性格に応じた計画内容とその変遷を理解した上で、これからの時代に適応する国土の利用と形成、保全のあり方について、都市と地方の関係にも着目しながら考察し議論する。

また、全体を通して、国土計画や都市計画は観光とどのように関係づけられるのかを理解する。

都市と地域の交通


人や物はなぜ移動するのか。都市や地域には様々な施設が立地しており、施設間では人や物が行き来する交通が必要不可欠である。
本講義では、「基礎」「調査」「事例」と「政策」の4つのフェーズを通じて、都市と地域の交通の基礎と理論と実際を学ぶ。

第一の「基礎」では、都市・経済・流通との関連を通じて、交通の基礎を学び、円滑な交通のために必要な計画の必要性について理解する。

第二の「調査」では、都市や交通の問題・課題を把握するために必要な調査を学び、都市や交通の問題・課題を理解する。

第三の「事例」では、大都市・地方都市・観光地における交通政策や交通計画の事例について学び、実社会における適用方法を理解する。

第四の「政策」では、問題・課題を解決するための、近年の都市や交通の政策や計画の考え方や、これからの都市や交通の計画技術について学び、政策や計画の内容や特徴を理解する。

発展Ⅲ類(政策・計画)

行財政概論

本講義は、主に日本の国・地方における行財政制度について検討するものである。前半では、基礎的な行財政のしくみを把握することを目指す。主なトピックスは、内閣制度、行政組織、公務員制度、官(公)民関係とガバナンス、予算制度、税制、中央地方関係、地方行財政制度などであり、近年の状況に触れつつ理解する。後半は、観光政策をめぐる行財政上の諸課題について、国際比較あるいは自治体間比較を交えながら、検討する。取り上げるテーマとしては、観光庁の設置と省庁間関係、中心市街地の活性化と観光政策、観光政策における(公務)人材の確保などを想定している。特に後半では、前半で学んだ内容を用いて各テーマの整理と検討を学生自身が主体的に行うことで、習得した知見の定着と応用力の育成を図る。

まちづくり論

まちづくりの理論、およびまちづくりに必要な方法と技術を学ぶ。

まず、まちづくりが成立した社会的、時代的な背景、および思想について学び、まちづくりの意義と価値について理解する。その上で、まちづくりのプロセス(まちを知る、理解する、世話する)、主体と組織化、合意形成・意思決定、規則・ルール、事業化、経営・マネジメントを学び、まちづくりを推進する上で必要とされる方法と技術を理解する。さらに、変動が著しい現代社会で、まちとまちづくりの将来を構想し、展望するために必要とされる、まちとまちづくりのデザイン論について学ぶ。

観光まちづくりを学び、実践する上での基礎を身に付ける。

農山漁村論

農山村の地域構造の原型ともいえる「家と集落(むら)の関係」を理解し、農山村地域が今日に至るまで直面してきた社会的諸問題を考えながら、その解決手段として試みられてきた地域づくりの展開を探る。また、積極的に地域づくりを進める上で不可欠な視点である「地域経済」に焦点を当て、地域資源をもとにした産業基盤(とりわけ農山村地域の主要産業である第1次産業)への理解を深め、グローバル化に直面する中での地場産業の変化と課題、また対応する試みを学ぶ。漁村についても、適宜、関連する論点を扱う。

都市保全論

都市は、歴史や文化交流の積み重なりのうえに成り立っている。固有の魅力をもち、地元の人々が愛着をもつ地域づくり、都市づくりのためには、そうした地域の歴史や特徴を生かすことが肝要である。一方、そうした地域固有性は必ずしもわかりやすく眼前にあるわけではなく、現代社会の中で埋もれているもの、痕跡が失われてしまったものも多い。

都市を保全するという考え方の展開に触れるとともに、都市の中で地域固有性を捉え、保全を進めていく手法を理解し、地域づくりにおいて不可欠な視点を学ぶ。

交通計画

人や物はなぜ移動するのか。都市や地域には様々な施設が立地しており、施設間では人や物が行き来する交通が必要不可欠である。
本講義では、基礎科目「都市と地域の交通」を踏まえて、「総論」「予測」「計画」の3つのフェーズを通じて、交通計画の理論と応用を学び、理解する。

第一の「総論」では、交通計画の内容と枠組み、新技術などを踏まえたこれからの交通計画について学び、交通計画の全体像を理解する。

第二の「調査・予測」では、計画策定に必要となる交通実態調査、調査にもとづく将来交通需要予測、予測に基づく計画(総合交通体系)について学び、交通計画の策定手法を理解する。

第三の「計画」では、交通需要予測および総合交通体系(交通マスタープラン)に基づく、個別計画(公共交通計画、道路計画・設計、地区計画、マネジメント手法(TDM、MM))や、テーマ別の交通計画(地球環境や安全・安心)について学び、交通計画の応用を理解する。

住民参加と合意形成

私たちが地域で生活を営む上では、解決を要する公共的課題が数多く発生する。たとえば、高齢者や障害者の生活支援、子育てや介護の社会化の推進、循環型社会の構築、中心市街地活性化、防犯・防災のまちづくり、地域公共交通の活性化、観光資源の発掘など実に多様である。

今日、縮小する日本の地域社会が抱える多様な公共的課題を解決するにあたって、住民のみならず、多様な利害関係者が一致協力して取り組んでいく必要があり、その際の拠り所となるのが住民参加と合意形成である。

行政への住民参加、住民・行政の協働、住民自治への流れを概観し、個別具体的な政策分野を対象として、住民がどのような根拠で、またどのような制度を通して自治体の運営に参加できるか、またどのように合意形成を図り、その意思を反映させていくかを、具体的事例を交えながら住民主体の地域政策形成に必要な視点や手法、課題などを学ぶ。

地域減災論

日本は自然災害の多い地域であり、地震、津波、火山噴火、台風、豪雨などによって大きな被害が発生している。このような自然災害から市民の生活を守り安心して暮らしていけるように、日常時から防災・減災まちづくりを推し進めることは重要である。また、このような取り組みは、一般市街地だけではなく、多くの観光客が滞在している観光地においても同様に重要である。

地域で求められる防災・減災・復興まちづくりに関して、防災・減災まちづくりの仕組み、一般市街地と観光地における防災活動、災害を引き起こす自然現象と発生する被害、過去の代表的な自然害と復興まちづくり、新たな取り組みとしての地域協働型の事前復興まちづくり、たまプラーザキャンパスと防災・減災まちづくり、について学ぶ。

リノベーション論

地域の歴史を刻む古い建物や路地、まつり、生活作法等は、まちのコミュニティや自立的経済を育むに欠かせない、地域の持続や復興の拠り所である。各地で若い世代が自らの生活や事業の拠点として、古い建物を保存活用、リノベーションし、まち全体の活力につなげている。

東京、谷中地区や全国の歴史ある建物や路地、緑地を生かす人々の取り組み、国や自治体の制度事業、企業や金融機関等の支援の仕組みを学ぶ。大都市でも地方でも、地域の文化資源、生活文化の特性を活かしたまちを次々世代まで渡していける方法を考えていく。

アートと地域振興

近年、地域の新たな価値発見や人々のつながりを生み出すアートプロジェクトが増えている。人口減少や気候の変化、災害の増加などにより、社会全体のしくみ、近代都市計画の手法の見直しが必要な現代において、地域住民・自治体・事業者等の新たな関係性の構築、社会実験などを用いた柔軟な計画が不可欠であり、その推進に、地域の価値や課題を発見し、切り込むアートの思考、アプローチが求められている。地域の文化・コミュニティ・教育・福祉・医療・観光などを横断的につなぎ、総合的に地域再生をすすめうるアートの考え方とプログラムを、日本国内、海外各地の事例をもとに考察し、地域の課題解決にむけた柔軟な思考を身につける。

(オムニバス方式/全15回)