展開科目Ⅰ類

基礎Ⅰ類(社会)

文化社会学

「文化」を社会学の視点から照射することは、具体的にどういう作業なのか、なにを得られるか、理論と事例を照らし合わせながら、その答えを探索していく。

「文化社会学」とは、「文化」に社会学的にアプローチし、「文化は社会的所産である」ことを確認し、文化の(再)生産過程を研究する社会学の一分野である。

「文化社会学」のなかで多様な学説が存在し、本講義では、ピエール・ブルデュー、シカゴ学派、アクターネットワーク理論を中心に、それぞれの学説と相互関連を学ぶ。さらに、文化の中で特殊な位置を占める「芸術」をいかに社会学的に分析・理解できるか、「都市」との関係に関する空間論的展開を学ぶ。

コミュニケーション論

私たちは、常に誰かと何かについてコミュニケートしている。この授業では、日々実践しているこの「当たり前」な営みを、社会学的視点から捉え、主要概念、理論、歴史、具体例を学ぶことで、学問の対象として理解することを目指す。

コミュニケーションは、自我と他者、個人と社会を結ぶ相互作用を生み出し、その様相はことば、文字、映像など、多様である。集団と組織における異なる文化や価値観を媒介することも重要な役割の一つである。授業の前半では、人間社会に欠かせないコミュニケーションの原理を理解するために、基礎概念を整理する。それをふまえて後半では、メディア社会/大衆社会のなかでコミュニケーションがどのように発展してきたかを学ぶ。広告、マーケティング、プロパガンダ、パブリック・リレーションズ、ジャーナリズムなど、現代社会を形づくってきた様々な専門分野の特徴を、歴史や具体例を通じて知ることで、よりよいコミュニケーションのあり方を考える手がかりを理解する。

地域と環境の社会学

グローバルな気候変動や格差・貧国の拡大を背景として、「持続可能な社会」についての社会的な関心が高まっている。そして、持続可能な社会を実現するためには、国際機関や国家による上からのルール作りや支援だけでなく、身近な地域社会(コミュニティ)を単位とした、日常生活のなかでの共同(協働)や環境への働きかけが必要であるとの考えが強まっている。

この授業では、社会学の中でも地域社会(コミュニティ)の仕組みや、社会と環境とのかかわりに関連する領域である、農村社会学、地域社会学、環境社会学の基礎的な考え方について学び、これからの地域社会による環境(山、川、景観など)の保全と利用のあり方について考えていく。その際、「生活」という視点を1つの軸とし、地域住民の生活とのかかわりに重点を置く学説や実践事例を中心に学び、理解する。こうした作業を通して、ボトムアップ型の社会を実現するためにどのような仕組みが必要なのか、具体的に考えていく。

グローバリゼーション論

「グローバリゼーション」を、コロナ危機や平成時代の日本の衰退をはじめ、近現代日本で起きてきた身近な出来事と結びつけながら、長期の歴史の中で理解する。戦後から21世紀に至るまでの日本社会についての理解を国内的な視点に閉じるのではなく、グローバルな秩序の中で捉え返す。西洋化、アメリカ化、近代化、都市化、情報化、ポスト工業化などとグローバル化の関係を考え、マクロとミクロをつなぐ思考力を育む。

発展Ⅰ類(社会)

都市とメディアの社会学

社会学はコンテクスト=文脈の学である。都市とメディアの社会学は、都会/都市を成り立たせ、変容させる歴史社会的文脈や、そうした都市の中でのメディア変容を文脈的に把握する力を育てる。都市については、盛り場、ディズニーランド、オリンピック競技場、米軍基地などの空間を、メディアについては、印刷、電話、映画、テレビなどを具体的に取り上げていく。具体的な都市やメディアを素材として取り上げながら、それらにどう社会学的にアプローチしていくべきなのかを学ぶ。

ジェンダーの社会学

ジェンダーとは社会的・文化的に形成された性別を意味し,社会を分析するための視点としても用いられる。ジェンダーの視点とは,性別に基づく不平等がなく,誰もが自分らしい生き方を選択し,意思決定過程に平等に参画できるジェンダー平等を目指す視点である。 本講義では,ジェンダーという概念,ジェンダーの視点,ジェンダー分析について学ぶとともに,ジェンダー問題の解決に向けた国際的,国内的な取り組みについて理解し,ジェンダーに公正で持続可能な社会の実現のための現状と今後のコミュニティ形成の課題について考察する。

コミュニティ論

「コミュニティ」という言葉の意味を整理したうえで、前半は親密な近隣という意味でのコミュニティを希求する動きや理論、政策に触れる。後半は、ソーシャル・キャピタル(つながり)としてのコミュニティに注目し、理論的な整理を行った後、それが弱まっている現状、その弱体化をもたらしている要因について考察する。そして最後に、ソーシャル・キャピタルが地球温暖化対策、さらにコロナ対策としても有効であることを解説する。

NPOと市民社会

人々の社会的必要を満たすモノやサービスは、営利企業が中心となる市場経済によってのみ提供されているわけではない。多様な行政サービスを生み出す政府も、家事やケア等を行っている家族も、そして地域や特定の社会的属性を持った人々のニーズを満たすボランティアやNPO、協同組合などの非営利・協同セクターも、人々がよりよく生き、生活する上で重要な存在と言えよう。

そこで本講義では、多様なニーズや特性を持った人々が、それぞれの特性を活かして生きていける共生社会を目指す上で、市場経済や行政、家族、そして非営利・協同セクターがいかなるメリットとデメリットを持っているかを理解し、上記セクター間のいかなる組み合わせや融合がそうした社会の構築に資するものとなり得るのか、NPO活動の事例分析を端緒として検討していくこととしたい。この過程は、既存の市民社会論や共同体論、地域研究、地域政策論、社会的企業論などの成果を踏まえ、新たな協同的市民社会の在りようを模索する試みともなるだろう。

観光社会学

近年は日本国内においても、インバウンドの急増により、全国各地に経済的な利益をもたらしている。しかし一方で、増加する観光客の諸行動や観光産業の商業主義により、観光地に様々なネガティブ・インパクトが発生しているのも事実である。

観光の持つ様々な社会学的影響力を多面的に捉え、特に観光地域のコミュニティ、伝統文化、経済等の持続可能性について注目しつつ、地域における観光発展の規模や住民生活との適切なバランスを考察する。そしてその理解を深めるために、観光社会学における理論や国内外の研究成果はもとより、国内および海外における観光地域づくりの成功・失敗事例も学び、具体的且つ包括的な理解を育む。

文化人類学

本授業の目的は、グローバル化が進行する現代社会の中での文化のあり方への視点を作ることにある。本授業における「文化」とは、文化財や文芸作品等にとどまらず、人々の生活パターンや世界観を大きな考察対象とする。移動や情報のあり方大きく変わり、伝統的な地域社会の考え方では対処できない面も大きくなってきた。その状況を踏まえ、文化人類学を学ぶ意義、研究成果、研究手法を考察する。