資源の「過少利用」に悩む農村

自然環境の維持や保全は人類の課題となっています。農村部における暮らしや地域コミュニティの変化が自然環境にどのような影響を与えるか一緒に考えてみましょう。

環境問題につながる過少利用

昔から、農村部では自然を上手に活用しながら暮らしていました。山の資源をほどほどに利用することは、生活のために必要なものを獲得するだけでなく、山林環境を適切に保つことにも役立ちます。しかし、近年、住民の高齢化や利益が少ないなどの理由から、自然資源の利用が行われなくなる「過少利用」に悩んでいる地域が増えています。結果として、放置林の増加や増えすぎた野生生物による農業被害が深刻化しています。さらに、資源を利用するためにつくられた地域組織の担い手確保も難しくなっています。そこで、従来とは異なる方法で地域の自然資源を利用する取り組みがはじまっています。

イノシシや鹿による農作物被害に対応するため、農地を柵で囲む地域が増えている。

みんなで管理し、みんなで使う

一例として、里山や山林、耕作放棄地などを地域のコミュニティを活かして共同管理する仕組みが挙げられます。管理の難しくなった農地や山林を住民たちやボランティアなどによって共同で手入れし、環境を適切に維持する運動が各地で広がっています。また、新しい環境利用の手段も登場しています。再生可能エネルギーもその一つ。地域の水路に小水力発電を設置し、売電によって得られた収益をお祭りなどの地域活動に充てる取り組みを行っている地域もあります。このような共同管理の仕組みづくりは、自然環境の保全だけではなく、地域コミュニティの関係づくりにも役立っているのです

再生エネルギーは農村地域が主体的に自然を管理・利用するための手段として期待されている。

農村部における自然資源の保全や管理を通じた地域コミュニティの活性化は各地で行われている

【教員プロフィール】
松本 貴文 准教授

農村社会学、地域社会学

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