樹木の距離が人の心理に影響する?

今後のまちづくりに欠かせない重要なキーワードが「自然との共生」です。都心における公園の役割の変化や、暮らしに安らぎを与える都市の風景とはどうあるべきかなど、造園や景観といった視点からアプローチします。

閉ざされた公園から街に広がる公園へ

現在、東京の日比谷公園では再整備計画が進んでいます。これまで「都市のオアシス」として外界と切り離すため、緑や塀で公園を囲い込んできました。ところが、現代では人々が自然の中で気軽に集えることが期待されるようになり、内外の視認性を高めて入りやすくするため、境界域にある塀の撤去や緑を減らすなどの再整備が必要になりました。公園のような地域資源も、求められるものが時代とともに変化しますが、その際に樹木の間隔を変えるといったデザインを工夫することで印象や人の行動に影響をおよぼし、期待に応えることが可能になるのです。

2枚の写真に見るように、樹木間隔が異なるイチョウ並木を比較すると、間隔が広い方が開放感を得られやすく、並木でくつろぐ人が増えることが心理調査で分かっている。

自然との共生は現代の都市づくりのテーマ

例えば、樹木間が7mと10m間隔のいちょう並木を比較すると、10m間隔の並木のほうが「木の下でゆっくり楽しもう」といった行動をする人が増えることが心理的調査によってわかります。また、同じ並木道でも、けやき並木では緑が横に広がるシルエットから一列でも緑に覆われた感覚を得ることができ、おしゃれなカフェに似合うなど都市の空間づくりに活用されています。自然と人の関わりという視点から、これからのまちづくりを考えるのも面白いです。

渋谷キャンパスの周辺にある表参道のけやき並木。明治神宮の参道として整備され、地下鉄駅の開業によりショップやカフェが立ち並ぶ光景が広がった。

自然を感じられる場所づくりが、まちづくりの重要なポイントになる

【教員プロフィール】
下村 彰男 教授

造園学、風景計画、自然資源管理、観光・レクリエーション計画

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